ミニバンに採用しているハイブリッドシステムには、色々とある
車を選ぼうとする人は、ハイブリッドシステム=モーターで補助をして燃費を向上させるシステム
と漠然と思っている方が多いのではないだろうか?
実際に各社が開発して搭載しているハイブリッドシステムをミニバンに限って比べてみてその違いを検証してみます。
完成されたハイブリッドシステム(トヨタ)
★トヨタ(ノア・ヴォクシー)1800cc+モーター
ノア・ヴォクシーに採用されているハイブリッドシステムは、プリウスαと同じフルハイブリッドシステムになります。
出力等から見てみましょう。
エンジン出力:99ps/14.5kgm モーター出力:82ps/21.1kgm 重量:1,610kg(Xタイプ) JC08モード燃費:23.8km/ℓ
こちらのハイブリッドシステムは、スプリット方式と呼ばれるシステムで、エンジンとモータの力を上手に使い分けて走るのが特長で
発進・低速時はモータのみで走行。速度が上がるとエンジンとモーターを使って効率よく走ります。
ノア・ヴォクシーは立ち上がりの発進加速は、強力なモーターを使って素早い加速を実現しています。
燃費の良さとコンパクト性を重視したシンプルなハイブリッドシステム(日産)
★日産(セレナ)2000cc+モーター
セレナに採用されているハイブリッドシステムは、旧型からのそのまま引き継ぎのS-HYBRID(スマートシンプルハイブリッドシステム)になります。
出力等から見てみましょう。
エンジン出力:150ps/20.4kgm モーター出力:2.6ps/4.9kgm 重量:1,650kg(Xタイプ) JC08モード燃費:17.2km/ℓ
日産の考え方は、セレナにフルハイブリッドシステムを搭載して、コストが上がってライバル車との競合に苦戦するよりも
今までのシステムを流用してプロパイロットシステムの搭載によるコストアップを吸収しようとする考えがまずあると思います。
それは、フレームを最近はやりの低床化をしていないことからもわかります。
セレナに搭載されているS-HYBRIDシステムは、燃費のよさとコンパクト性を両立したタイプの(簡易?)ハイブリッドシステムです。
フルハイブリッドシステムを搭載すると部品点数が多くなったり、バッテリーが大型化されたりと、本来室内空間を
広くしたいミニバンにはマイナスに働く場合が多くなります。そこで日産はシンプルで効率が良いハイブリッドシステムを
考えて、ミニバンに搭載したのが、このシステムになります。
まず停車時は、当然アイドリングストップ機能が働いて、バッテリーだけで運用しています。
減速時にはブレーキによる回生エネルギーをバッテリーに溜め込むシステムを採用しています。
スタート時は、この溜め込んだエネルギーでアシストモーターが働きエンジンを稼働させます。
ですからセルモーターが回ることはありません。
あくまでエンジンのアシストですが強力なモーターではありませんので、豪快な加速をしていくことはありません。
このあたりはセレナの燃費重視のセッティングなどもあり、発進時の穏やかさを指摘する声があるのも事実です。
新技術で巻き返しを図るホンダハイブリッドシステム
★ホンダ(オデッセイ)2000cc+2モーター
ホンダのハイブリッドシステムは、最初はIMA(パラレルシステム方式)と言って、エンジンをアシストするタイプのハイブリッドシステムでした。
これはインサイトやフィットシャトルHVなどに搭載されたシステムで、あまり評判が良くなくインサイトは既に販売終了になっています。
オデッセイは、i-MMDと呼ばれる発電用モーターと走行用モーター、ハイブリッド専用エンジンを備える2モーターハイブリッドシステムです。
”インテリジェントマルチモードドライブ"の意味で、EVドライブモード、ハイブリッドドライブモード、エンジンドライブモードと呼ばれる
3つの走行モードがあります。
出力等から見てみましょう。
エンジン出力:145ps/17.8kgm モーター出力:184ps/32.1kgm 重量:1,860kg JC08モード燃費:26.0km/ℓ
EVドライブモードでは、モーターの出力だけで、タイヤを回します。発進加速や街中での渋滞時にはこのモードになる場合が多いようです。
ハイブリッドドライブモードは、バッテリーの電力だけでは足らなくなった時に、発電用のモーターを回してアシストするモードです。
エンジンは回りますが、タイヤは直接駆動しません。エンジンドライブモードは、100km/hを超える高速走行では、エンジンの
燃料効率が良いため、エンジンからの出力を直接駆動出力としてタイヤを回します。このエンジンも*アトキンソンサイクルエンジンを
採用しておりますので、燃費効率の良いエンジンです。
*(アトキンソンサイクルエンジンに関してはこちらを http://flowerauto.jp/wp-admin/post.php?post=515&action=edit)
オデッセイは、ノア・ヴォクシーやセレナと違ってひとクラス上のLクラスになりますので、比較でもってくるには少しずるいですね。
そこで
ホンダにはフィット・ヴェゼルなどに採用されているi-DCDと呼ばれるハイブリッドシステムがあります。こちらは、ノア・ヴォクシーと
同じくスプリット方式になっています。そのi-DCD方式は、エンジンの不得意領域をモーター駆動、エンジンの得意領域を
エンジン駆動とすることで燃費を向上します。 特にスタート時は、モーターは最大トルクが発揮できますから、エンジンを停止させた
状態でモーターのみで駆動します。 エンジンの得意領域ではエンジン駆動がメインとなり、必要に応じてモーターのアシストが加わります。
高速走行での巡航走行では、エンジン程のトルクが必要なければ、エンジンを停止してモーターのみでの駆動を行います。
減速時には、モーターを発電機として回生発電することで、無駄に放出されるエネルギーを回収します。
ではヴェゼルで出力等から見てみましょう。
エンジン出力:132ps/15.9kgm モーター出力:29.5ps/16.3kgm 重量:1,270kg JC08モード燃費:27.0km/ℓ
今後発売するであろう、ステップワゴンはコスト面等からこのi-DCD方式を採用すると思われます。そして出力等はクラスに合わせて
もう少しアップするのではないかと思います。
こうしてみてみると、ハイブリッドシステムは色々とあります。トヨタの方式は独自の方式を取っており、技術としてはかなり完成度が
高いです。しかし改良の余地が少なくなっているのも否めません。それに比べてホンダが進んでいこうというハイブリッドシステムは
現在まだまだ技術的には未熟なところがあるようですが、完成度を上げてくればかなり良い評価が期待できそうです!
あと出しになる、ステップワゴンですが、装備・性能そしてコスト面とどういった内容で出してくるか楽しみですね。
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